RFIDとは?
製造・物流現場の業務効率を変える基礎知識と活用事例
2025年7月8日
コラム
■業種・業態:製造業/物流業・倉庫業
■キーワード:RFID/コスト削減/業務効率化/業務改革

製造業や物流業の現場では、慢性的な人手不足やヒューマンエラー、業務の属人化など、さまざまな課題が浮き彫りになっています。こうした課題の解決策として注目されているのが、RFID(無線自動認識)技術です。RFIDは、物体に取り付けたICタグを非接触で読み書きできる仕組みを持ち、バーコードと比べて作業スピードや精度に優れているのが特長です。
この記事では、RFIDの基本的な仕組みやバーコードとの違い、製造・物流現場での具体的な活用例、導入のメリットと注意点、さらに帳票一体型RFIDソリューションについて解説します。
RFIDとは?仕組みとバーコードとの違い
RFID(Radio Frequency Identification)は、ICチップとアンテナを内蔵した「RFタグ」と、タグの情報を読み書きする「リーダーライター」で構成される技術です。電波を利用して通信を行うため、タグとリーダーが直接触れる必要はなく、視認や近接せずにタグの情報を読取り出来ます。 バーコードと異なるポイントは、複数のタグを一括で読み取れること、そしてタグの情報を書き換えできることです。また、電波を使うことで障害物越しの読取りも可能になり、作業スピードの向上や人的ミスの削減に大きく貢献します。視認不要の非接触通信が、現場作業において大きな強みとなります。
製造・物流現場でのRFID活用例
RFIDは、業務の「見える化」を促進するツールとして、製造・物流の現場で幅広く活用されています。製造現場では、部品の払出しや工程ごとの進捗管理、完成品の出荷管理などに使われ、記録作業の自動化や精度向上に貢献しています。
物流現場では、入出荷検品やピッキング、棚卸などの工程に活用されており、作業時間の短縮や誤出荷防止といった成果を上げています。ある製造業の企業では、目視で1品1品の棚卸をしていましたが、RFIDの一括読取りと探索機能により棚卸作業に必要な人員を1/3に、作業時間を1/8削減し、大幅な工数削減を実現しました。こうした事例は、他の現場でも応用可能な成功例といえるでしょう。
RFID導入のメリット
RFIDの導入によって、棚卸、検品業務などの自動化及び人為的なミスの削減による業務効率向上に直結します。製造や物流など、処理量が多くスピードと精度が要求される現場では、業務効率化に直結する有力な技術といえます。
RFID導入のステップと進め方
RFIDを現場にスムーズに定着させるには、以下の4ステップを段階的に踏むことが成功の鍵となります。
- 課題整理と導入目的の明確化
まずは業務内容や現場の課題を洗い出し、RFIDで改善したいことを明確にします。目的を定めることで、最適な機器構成や導入規模の判断がしやすくなります。 - タグ・リーダーの選定とトライアル
使用環境に応じたRFタグやリーダーライターを選定し、実際の業務に近い小規模なエリアでテスト運用を実施します。読取精度や操作性、スタッフの反応などを確認し、改善点を洗い出します。 - スモールスタートによる本番導入
トライアルの結果を踏まえ、優先度の高い業務から部分的に本格導入を進めます。段階的な展開により、現場の混乱を最小限に抑え、確実に効果を実感しながら定着させることができます。 - 全体展開と社内定着
効果が確認できた段階で運用ルールを標準化して操作マニュアルの整備や現場スタッフへの教育を行い、全体展開へ移行します。
RFIDと帳票の一体化で実現する業務効率化
RFIDの現場導入においてネックとなるのが、RFタグの貼り付けや帳票との情報突合といった煩雑な作業です。これを解決するのが、東芝テックが提供する「A3カラープリンターRFIDソリューション」です。
このソリューションでは、RFタグを内蔵した専用用紙に帳票を直接印刷できるため、RFタグ貼り作業が不要になります。帳票そのものがRFタグとして機能することで、印刷と同時に情報を付与でき、現場のフローを変えることなく自然にRFID化が可能です。
例えば、ある企業ではこの仕組みを使った申込書の導入により、入庫作業において92%の工数削減を実現しました。紙中心の業務にも柔軟に対応でき、現場への負担も少ない革新的な手法として注目を集めています。
RFID導入を検討中の方は東芝テックへご相談ください
RFIDは単なる自動認識技術ではなく、製造・物流の現場における業務改善やDX推進を支える基盤となる存在です。特に帳票との一体化やスモールスタートによる導入など、現場の負担を抑えながら進められる工夫も数多くあります。
まずは「どこに課題があるか」「RFIDで何が解決できるか」を整理し、小さな導入からスタートすることをおすすめします。
一方で、RFタグ金属や液体などの影響を受けやすく、読み取りに制約が出ることがあります。また、導入にはRFタグやリーダーライター、システム構築にかかる初期費用の検討が必要です。既存の在庫管理システムやERPとの連携には、インターフェースの開発やデータ統合の調整も求められます。導入前には十分な検証と準備が不可欠です。
貴社の業務に最適なRFID活用方法を見つけるためにも、まずは東芝テックへお気軽にご相談ください。
※当記事は2025年7月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

